欠陥住宅の解体にかかる費用や建て替え費用は損害賠償請求できる?改正民法対応

購入したマイホームが欠陥住宅だったら、大きなショックを受けてしまいますよね?解体費用や建替え費用を損害賠償請求できるのでしょうか?欠陥住宅の損害賠償請求の範囲や対処方法について、裁判例もふまえてご紹介します。
購入したマイホームが欠陥住宅だったら、大きなショックを受けてしまいますよね?解体費用や建替え費用を損害賠償請求できるのでしょうか?欠陥住宅の損害賠償請求の範囲や対処方法について、裁判例もふまえてご紹介します。
もしも欠陥住宅を購入してしまったら、建築業者や販売業者へ解体費用や建替え費用を請求できるのでしょうか?
法律上、売買契約の売主や請負契約の請負人は相手に対し、契約に見合ったものを引き渡す義務を負います。建築業者や販売業者が欠陥住宅を引き渡した場合、契約上の義務を果たしたとはいえません。そこで買主や注文者は売主や請負人に対し「契約不適合責任」を追及できます。
契約不適合責任の中には損害賠償請求も含まれるので、業者側に故意や過失があり損害が発生していたら、買主や注文者は業者側へ損害賠償請求できます。
実は欠陥住宅の損害賠償の範囲はケースによって異なり、解体費用や建替え費用が必ずしも認められるとは限りません。たとえば軽微な欠陥で補修可能であれば、解体や建替えまでは認められない可能性が高くなります。
一方、欠陥が重大でそのままでは住めない場合、解体や建替えが必須と考えられるので解体費用や建替え費用も請求できるケースが多数です。
この判例は、最高裁が欠陥住宅の建替え費用を認めた非常に重要なモデルケースです。
建物に数多くの瑕疵があり、発注者が設計事務所や建築会社などに対し解体費用や建替え費用などの損害賠償請求をしました。原審は原告の主張を認め、被告が上告しましたが、最高裁は原告の主張を認めて被告に対し、解体費用や建替え費用の支払い命令を下しました。
このケースで最高裁は「建物に重大な瑕疵があって建て替えざるを得ない場合には、発注者は請負人に建て替え費用相当額の損害賠償を請求できる」と判断しています。この判決によって「欠陥住宅訴訟では建替え費用まで請求できるケースがある」ことが法律上確立されたといえるでしょう。
出典元:「建て替え費相当の賠償請求は可能」|日経クロステック(xTECH)
「OMソーラーハウス」という規格住宅が契約目的となったケースです。建物の基礎や屋根下地、断熱材の接着剤、土間リストなどにさまざまな欠陥がありました。裁判所は建物を解体して建て替えるしか対処方法が存在しないと判断し、解体費用や建替え費用の支払い命令を下しました。
新築された鉄骨2階建ての建物に溶接などの欠陥があったケースです。施工業者側は「現場補強工事で対応できる」などと主張しましたが、裁判所は「取り壊して建て替える以外に対処方法はない」として、業者側に解体費用と請負代金相当額、さらに400万円の慰謝料の支払い命令を下しました。
このケースでは解体、建替え費用だけではなく慰謝料まで認められていることに注目すべきです。業者側の対応が悪質な場合、発注者の精神的損害が大きくなるため慰謝料まで認められる可能性があります。
出典元:欠陥住宅全国ネット 欠陥住宅被害全国連絡協議会|消費者のための欠陥住宅判例[第4集] – 出版情報
もしも購入、新築したマイホームが欠陥住宅だったら、どこまで損害賠償請求できるのでしょうか?
実は売買や請負の目的物に欠陥があった場合の法的ルールは2020年4月における民法改正によって変更されています。それまでは「瑕疵担保責任」だったものが「契約不適合責任」に変わりました。ただ損害賠償の範囲については、概ね以前の瑕疵担保責任時代の理解をあてはめてよいケースが多いと考えられます。
それによると「欠陥を修繕できるかどうか」によって損害賠償の範囲が変わってくるので、以下でそれぞれみてみましょう。
建物の欠陥が警備で修繕可能であれば、基本的に修繕費用までしか認められません。解体や建替えは不要である以上、解体費用や建替え費用は契約との因果関係がないと考えられるからです。
欠陥が重大で修繕不可能な場合には、解体や建替えによって対処するしかありません。よってこれらの費用が認められます。
欠陥が重大で修繕不可能であっても、中古住宅の場合には「物件の時価」が賠償額の限度となり、仮住まいの費用や引越し費用などは認められない可能性があります(東京地裁平成14年1月10日)。
出典元:日本住宅性能検査協会<参考判例集> 第1回 欠陥住宅 損害賠償額はいくら?|建物検査相談センター
ただしこの裁判例は旧民法の「瑕疵担保責任」の考え方をベースにしています。旧民法では現行民法よりも瑕疵担保責任にもとづく損害賠償の範囲が狭くなっていました。現在は「履行利益」まで賠償できますが、当時は「信頼利益」に限定されていたのです。
契約が約束通りに履行されなかったために発生した損害
契約が有効と信じたことによる損害
もしもこのケースで現行民法が適用されていたら、結論が変わっていた可能性があります。とはいえ中古住宅の場合、損害賠償額が「建物の時価」を限度とされた裁判例が存在することは知っておくとよいでしょう。
建築、購入した住宅が欠陥住宅だった場合、解体費用や建替え費用以外にも損害賠償請求できる可能性があります。
慰謝料については業者側の対応が特に悪質なケースで認められる可能性があります。その他の諸費用についても欠陥と因果関係があると考えられるので、現行民法のもとでは認められる可能性が高いでしょう。
もしも欠陥住宅を手にしてしまったら、どのように対応すれば良いのでしょうか?
まずは弁護士に相談してみてください。欠陥住宅だからといって、必ず解体や建て替えの費用まで請求できるとは限りません。個別の判断が必要です。
自己判断で解体や建替えを行ってしまった場合、それらの費用を払ってもらえないかもしれません。先に弁護士に相談して「建替え費用まで請求できるのか」確認してから工事の発注をしましょう。
もう一つ重要なことは、契約不適合責任の時効です。契約不適合責任にもとづく修補請求権や代金減額請求権の時効は「欠陥を知ってから1年間」となっています。この期間内に請求をしないと、修繕対応を求められなくなってしまうので注意しましょう。
また修補請求した場合でも、その後5年以内に実際に修補してもらうか代金の支払いを受けないと、債権が時効によって消滅してしまいます。損害賠償請求権についても、やはり「請求できるときから5年以内」に実際に支払いを受けないと時効消滅します。
なお旧民法の「瑕疵担保責任」では時効や除斥期間による期間制限が異なっていました。今は契約不適合責任に変わり、時効の期限が上記のように変更されているので正しく理解しておきましょう。
建物に欠陥があるなら、解体や建替えにどのくらいの費用がかかりそうか知っておくと役立ちます。弁護士に相談するときや損害賠償請求する際の資料としても使えるので、建築解体業者に連絡をして、解体費用や立替費用の見積もりをとっておきましょう。
せっかく新築、購入した住宅に欠陥が見つかったら、すぐに弁護士に相談しましょう。
補修を請求できる可能性がありますし、状況によっては解体や建替え、引っ越しや仮住まいの費用まで出してもらえる可能性もあります。
合わせて建築解体業者に依頼して、解体や建替えの見積もりをとっておくとよいでしょう。
執筆者 | 福谷 陽子 | |
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プロフィール | 元弁護士、現法律・不動産ライター。保有資格:司法試験合格、TOEIC820点、日商簿記2級、3級 | |
サイト | https://legalharuka.com/ |
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