解体業者の選び方とポイント
それでは早速、解体業者の選び方とポイントについて解説していきます。解体工事を依頼する場合は解体業者に依頼することが多くなりますが、どんな解体業者でも良いというわけではありません。事前交渉を進めていく中で、信頼できると感じる業者を見つけることが大切です。
工事前や工事中、工事後の無用なトラブルを避けるという意味でも、解体業者選びはとても重要です。そのキーになるポイントについて確認していきましょう。
許可や登録を保有している業者か
まず、解体業者を選ぶ際に意識しておきたいポイントとして、許可や登録を保有している業者かどうかという視点を持つことが挙げられます。どんな業者も解体工事を行えるというわけではなく、解体工事を行うための許可や登録をしている必要があります。
具体的には建築業許可証または、解体工事業登録(税込請負金額500万円未満まで)を行っておくことが求められます。
実際に解体工事を依頼する場合は、こうした許可や登録があるのか提示してもらうことが有効です。許可証や登録番号の提示をお願いすれば、見せてもらうことができます。対応に不安があったり信憑性に欠けたりする場合は、都道府県に問い合わせることで、許可や登録がある業者なのかどうか教えてもらうことができます。
登録や許可を受けていないことがわかったら、工事の依頼を中止するようにしましょう。
工事保険に加入しているかどうか
解体業者の選び方として、工事保険に加入しているかどうかも重要なポイントです。工事保険とは、いわゆる第三者賠償保険のことであり、解体工事中に万一の事故が発生した時に、被害者の方に賠償金を支払うために加入するべきものです。
工事現場ごとに保険に加入するケースもあれば、会社単位で年間契約の保険に加入するケースもあります。また、重機や車両単位で加入できる保険もあり、必要な保険に加入をした上で工事を受注するのが基本です。
しかし、場合によっては保険に加入することなく、解体工事を進めようとする業者もあります。保険料を支払いたくないことが大きな理由で、万が一の時のことを考えていないのです。
工事を依頼する際は、保険に加入しているかどうか尋ねてみましょう。その際に曖昧な回答をされたり、加入していないと言われたりした場合は、依頼を中止するのが賢明です。
合法的な工事をするか
合法的な工事をするかどうかという点も、解体業者選びにおける重要なポイントです。合法的な工事とは、建設リサイクル法や廃棄物処理法といった法律を遵守して工事を行うかどうかということです。
解体工事は何でもかんでも自由に進めれば良いというものではなく、一定の法律や規定に則った形で進めていく必要があるものです。建設リサイクル法の届出を適切に行ってくれるのか、あるいは、マニフェストの発行に応じてくれるのかといったところも大切な部分です。
事前のコミュニケーションを図りながら、信頼できる解体業者かどうかを見定めていきましょう。
自社施工を行う業者か
続いての解体業者選びのポイントとして、自社施工を行う業者かどうかという点を挙げることができます。解体業者にはさまざまな業者があり、自社施工ではなく、工事の受注だけを行って、実際の工事は下請けの業者に流すというケースもあります。
そうなると、解体費用の高騰につながるリスクが出てきます。本来であれば、解体業者に支払えば良い解体費用ですが、下請け業者に流すことになると、そこに中間マージンが発生することになります。そのため、施主としては余計な出費につながりやすくなるので、注意が必要です。
また、工事自体の安心感という点でも不安が残ります。工事を受注する業者と、実際に工事を行う業者が異なると、工事開始前にやり取りしていた内容が正確に下請け業者に伝わるとは限らないからです。
施主と工事を行う業者の間にさらに別の業者が加わることで、意思疎通が上手くいかなくなり、言った言わない問題に発展することもあります。特に契約関連のことは注意が必要であり、追加費用の発生につながることもあります。
いずれにしても、自社施工を行っているかどうかを確認してから依頼を決定することが重要です。
見積書や契約書の発行
解体業者の選び方として、見積書や契約書の発行にも注意を払うことが求められます。見積書に関しては、「一式」と記載されているものではなく、費目ごとにどれくらいの費用が発生するのか、具体的に記載されたものを発行してもらうことが重要です。
工事内容をしっかりと明記した上で、工事項目の計上を行い、根拠のある金額を提示してくれる業者であれば信頼感が高いと言えます。そうした項目ごとの金額が提示されていないと、何にいくらかかるのかがはっきりと見えてきません。そうなると、施主としては金額に対する不安や不信感が募ることになります。だからこそ、費目ごとに具体的な金額を提示してくれる業者がおすすめです。
また、契約書に関しても事前に雛形を見せてもらうのが有効です。中には契約書を発行することなく、工事を進めようとする解体業者も存在します。そうした業者が全て悪徳業者というわけではありませんが、依頼する側としては安心することができません。
工事開始前には必ず契約書の交付を受けて、どのくらいの工期でどういった工事を進めていくのか双方で確認することが大切です。その際に、追加費用に関する規定も確認しておくことです。いずれにしても、契約書ベースで工事を進めることが重要であり、解体業者選びの基本となります。
適切な支払い条件の提示
適切な見積書や契約書の発行とつながる部分でもありますが、適切な支払い条件を提示してくれるかどうかについても、確認することが重要です。
基本的には契約書に沿った形で料金の支払いを行うことになりますが、それ以外に追加費用が発生することもあります。どういった条件や理由の時に追加費用が発生するのか、その規定を事前に確認して契約書に盛り込んでもらうことが重要です。
そうでないと、解体業者の言いなりになって追加料金を多く取られるリスクも出てきてしまいます。その他、一括払いや分割払いなど、事前に取り決めた支払い方法に則って支払いを進めることができるかも重要な点です。
提示してきた支払い条件の通りに請求してくれる業者が信頼に足る解体業者と言えます。特に工事開始前の一括払いなどを要求してくる業者には注意が必要です。
自転車操業のような形で資金繰りに困っている解体業者も少なくないので、その辺は慎重に見極める必要があります。
担当者の表情や態度はどうか
解体業者の選び方として、担当者の表情や態度はどうかという点も意識しておきたいポイントです。最も大切なのは適切に解体工事を進めてくれることですが、工事開始前にそれを判断することはできません。
しかし、コミュニケーションを取っていく中で、担当者の表情や態度、言葉遣いや振る舞いなどを見ることで、安心して工事を任せることができる業者なのかどうかを判断することは可能です。
施主の質問に丁寧に回答してくれるか、近隣の方への対応はどのように行うのか、何か気になることや不安な点にどういった対応をしてくれるかなど、意思疎通を図る中で信頼できるかどうか見極めることが重要です。
何か不安な部分が残るようであれば、他の解体業者に切り替えることが重要です。工事が始まってからでは遅いので、始まる前に判断することが求められます。
所在地が明確であるか
解体業者の選び方として、所在地が明確であるかという点も意識しておきたいポイントです。当たり前のことと言えば当たり前のことですが、どこに拠点があってどういった会社なのか判断することができなければ、安心して工事を依頼することはできません。
解体業者のホームページを確認したり、電話で問い合わせてみたりするなど、所在地を確認しておきましょう。住居用のマンションの一室や一般家屋を事務所として利用している解体業者には注意が必要です。
自社ビルやオフィスビルなど、きちんとした場所に事務所がある解体業者を選ぶのがおすすめです。
重機を所有しているか
解体業者を選ぶ際は、重機を所有しているかどうかという点も意識しておきたいところです。重機に関しては、所有していなくてもリースという形で工事を行うことができます。保管場所がないなどの理由で、重機を自社所有していないケースも少なくありません。
しかし、重機を所有していない解体業者に工事を依頼すると、重機のリース費用も含んだ形で解体費用を請求されることがあります。これは自社所有の業者に比べて費用が高くなりやすい原因の1つです。
少しでも解体費用を抑えたいと考えているのであれば、重機を自社所有している解体業者に依頼するのがおすすめです。
マニフェストを発行しているか
解体業者を選ぶ際は、マニフェストを発行しているかどうかという点も重視しておきましょう。マニフェストとは、「産業廃棄物の管理伝票」のことを指しています。
この「産業廃棄物の管理伝票」には、産業廃棄物の量や種類、運搬業者名や中間処理業者名、最終処分業者名などが記載されていて、解体工事で発生した産業廃棄物をどういった形で処分するのか、一連の流れが書かれています。
基本的には、産業廃棄物の管理伝票に記載がある流れで産業廃棄物の処理を行う必要があります。悪徳業者の場合、マニフェストの発行をせず、不法投棄をするケースもあります。そうなると、施主も処罰の対象となるので注意が必要です。
マニフェストに関しては、コピーを受け取ることができます。工事を依頼する側の責任としても、コピーを受け取り、その流れに沿った形で処分が行われているかどうか確認することが重要です。
解体業者の探し方
ここからは、具体的な解体業者の探し方について解説していきます。工事を依頼する際の解体業者選びのポイントについて理解した上で、実際に業者を探す段階へと移っていきます。
解体業者の探し方としては、複数の選択肢があります。インターネット検索や解体業者紹介サービスの利用、電話帳で調べる方法や友人や知人からの紹介によって解体業者を探す方法もあります。
それぞれの方法の概要を確認した上で、自分にとって最適な方法を選択していきましょう。
自分で解体業者を探す人が増加
まず、近年の解体業者の探し方の流れについて確認していきます。近年の流れとしては、自分で解体業者を探す人が増加していると言えます。それには、以下の3つの理由が関連していると考えることができます。
- 中間マージンを支払いたくない
- 解体業者に関する情報が得やすくなった
- 顧客へのアプローチを重視する解体業者が増えた
上記の3つの理由について、それぞれ具体的に確認していきます。
中間マージンを支払いたくない
まず、中間マージンを支払いたくないという点についてですが、ハウスメーカーや工務店経由で解体業者を探してもらうと、ハウスメーカーや工務店に対するマージンが発生することが一般的です。
自分で解体業者を探せば直接契約になるので、余計な中間マージンの支払いをなくすことができます。かつては解体業者との間に仲介業者が登場することが一般的でしたが、現在は消費者の節約志向もあって、仲介業者に頼ることが少なくなってきました。
これが、解体業者を自分で探す人が増えた1つの理由です。
解体業者に関する情報が得やすくなった
続いて、解体業者に関する情報が得やすくなったことも自分で探す人が増えたことの理由として挙げられます。かつてはベールに包まれていた部分の多かった解体業者ですが、現代においてはインターネットで何でも調べることができるようになっています。
まだまだ不透明な情報があることもありますが、それでも以前と比較すればより多くの情報を得やすくなったと言えます。単純にアプローチできる情報量が増えたことから、自分で解体業者を探して自分で発注する人が増えたと考えられます。
顧客へのアプローチを重視する解体業者が増えた
自分で解体業者を探す人が増えた理由として、顧客へのアプローチを重視する解体業者が増えたことも挙げられます。現代は業者側も自らアプローチをかけないと、なかなか仕事を取るのが難しい時代に入ってきています。
そのため、いかにすればより多くの工事を受注することができるかと考えて、自社サイトを立ち上げたり、顧客対応をする部署を作ってみたりと、さまざまな工夫を重ねています。
そうした努力が身を結び、工事を依頼する側からの直接的なアプローチが増えてきた結果、個人が解体業者に問い合わせをするのが普通になってきたと考えることができます。今後もますますこの流れは加速していくでしょう。
インターネット検索
それでは、具体的な解体業者の探し方について解説していきます。まず、よく利用される探し方としてインターネット検索を挙げることができます。現代は何か疑問があれば、すぐにインターネットを利用して検索できる時代になってきています。
それは、解体業者探しにおいても同様であり、ヤフーやグーグルといった検索エンジンを利用すれば簡単に必要な情報を入手することができるようになりました。
解体業者のホームページにアクセスすれば、所在地や工事実績、価格帯などの情報を入手することができます。まだまだホームページを持っていない解体業者もありますが、一番シンプルに情報を得られる方法として、インターネット検索がおすすめです。
解体業者紹介サービスの利用
解体業者の探し方としては、解体業者紹介サービスの利用も挙げることができます。これも基本的には、インターネットを利用して解体業者を探し出すことになります。
解体業者を無料で紹介してくれたり、マッチングしてくれたりするサービスが登場してきており、必要事項を入力することで、複数の業者から相見積もりを取ることができます。マッチングした解体業者の中から良いと思った業者があれば、その業者に依頼することができます。
できるだけ短時間で効率的に解体業者を探したいと考えている方にとっては、魅力的なサービスと言えます。
電話帳で調べる
解体業者の探し方としては、電話帳で調べる方法も挙げることができます。タウンページなどの電話帳を活用して、「建物解体工事」に関するページを開けば、複数の解体業者を探し出すことができます。
かつては主流であった方法ですが、現在では活用する人が少なくなってきています。それでも、手元に電話帳があれば、すぐに調べて電話できる便利な方法です。電話帳の限られたスペースの中での情報となるので、詳細に関しては業者に問い合わせてみるのが有効です。
友人や知人からの紹介
解体業者の探し方としては、友人や知人からの紹介も挙げることができます。友人や知人に解体工事を行ったという方がいる場合や、解体業者で働いているという方がいれば、そうした人から情報を得ることも可能です。
ある程度付き合いの長い人であれば、信頼性も高まりますし、自分で解体業者を探す手間を省くことができます。
ただし、最終的に決めるのは施主の判断となります。友人や知人に紹介してもらったからと言って、必ずしも依頼する必要はありません。後々のトラブルに発展する可能性もあるので、慎重に判断することが大切です。
それでも安心して任せることができる業者であると判断した場合は、友人や知人に感謝しつつ、契約を進めていきましょう。
解体業者のおすすめの選び方
ここからは、解体業者のおすすめの選び方について確認していきます。解体業者を選ぶ際にはさまざまな点に注意を払いつつ、選定を進めていくことが重要です。その中で、どういった点を意識して解体業者選びを進めていけば良いのか、さらに深堀りする形で解説を進めていきます。
相見積もりを取ることも含めて、施主としてできることを精一杯行っていきましょう。
相見積もりを行う
まず、解体業者のおすすめの選び方として、相見積もりを行うことが挙げられます。解体工事を行う際は、少なくとも2社以上の解体業者に連絡を入れて、相見積もりを行うことが重要です。
そもそも1社だけに見積もりを依頼してしまうと、その金額が高いのか安いのかどうか判断することが難しくなります。また、工事内容や工事スケジュールに関しても適切なのかどうか判断がつかない部分も出てきます。
その点において、少なくとも2社以上、できれば3社程度の解体業者から見積もりをとることで、金額や工事スケジュールに関しての適切さを判断しやすくなります。
解体業者としても相見積もりをとられることには慣れているので、そこまで気にする必要はありません。相見積もりをとっていることを伝えても問題ないので、施主として納得できる形で業者選びを進めることがポイントです。
素人にもわかりやすく説明をしてくれる業者
解体業者を選ぶ際には相見積もりを取ることが基本となりますが、担当者とやり取りをする中で、素人にもわかりやすく説明をしてくれるかどうかを重視することも大切です。
初めて工事を依頼するという方はもちろん、解体工事に対しての知識が少ない方も多いでしょう。その際に、専門用語を多く使われたり、大雑把にしか説明してもらえなかったりすると、具体的な解体工事のイメージが沸きにくくなります。
素人に対してわかりやすく説明してくれるということは、それだけ顧客を意識していて丁寧かつ親切な対応をしてくれる業者だと認識しやすくなります。そういった業者であれば、解体工事も安心して任せやすいのではないでしょうか。
担当者の雰囲気や表情、態度なども考慮しつつ、説明時の対応も意識的に観察してみるのがおすすめです。
業者のホームページを確認
解体業者のおすすめの選び方としては、業者のホームページを確認することも挙げられます。ホームページの中で、解体工事に関する実績や事例、会社所在地の確認、代表社名や工事費用、その他会社情報の提示があるかどうかを確認することがポイントです。
特に問題のない業者であれば、より多くの情報を公開したいと考えるのが自然です。電話やメールでの問い合わせ、見積もり提示の段階や契約書交付の段階など、さまざまな段階で担当者の方とやり取りをすることになります。
そのやり取りの中で、信頼に足る業者なのか判断することも重要ですが、それと同じくらいホームページも入念に確認しておきましょう。
ホームページは企業の顔と言っても過言ではなく、そこに書いてある情報の信頼性をきちんと判断することが重要です。そうした意識を持って業者選びを進めていくことがおすすめです。
悪徳業者には要注意
ここからは、解体業者選びの際に悪徳業者に引っかからないようにするための注意点について解説を行っていきます。ここまで解体業者を選ぶ際のさまざまなポイントについて取り上げてきましたが、注意を払っていても悪徳業者に依頼してしまうことがあります。
それを避けるために意識しておきたいポイントがあるのも事実です。安易に解体業者を選んでしまうのではなく、しっかりとした判断基軸を持った中で最善の判断を下すことが求められます。
安すぎる見積もり提示
悪徳業者に注意を払うという点において、安すぎる見積もり提示には十分気をつけておきたいところです。この辺は、複数の業者に見積もりを依頼することで、認識しやすい部分と言えます。
例えば3社に見積もりを依頼して、1社だけが極端に安い費用を提示してきた場合、安易にその業者に依頼しないことがポイントです。
あまりにも安い金額の場合、産業廃棄物の処理を適切に行わず、不法投棄をしてしまう業者の可能性もあります。解体工事自体の金額に差が出ることはあまりなく、差をつけるとしたら産業廃棄物処理の段階で違法なことをする可能性があります。
場合によっては、工事自体も大雑把なもので、足場や養生の設置をすることなく、近隣住民の方にご迷惑をお掛けすることになるリスクも出てきます。
最終的に被害を被るのは施主側であり、安いからと言って安易に飛びつくと後で痛い目に遭うことになります。高すぎる見積もり提示もそうですが、安すぎる場合にも注意が必要です。
追加費用の発生
悪徳業者に注意を払いたい理由として、追加費用の発生も挙げることができます。契約書を結ぶ段階で、追加費用に関する規定も盛り込んでおくことが大切です。
悪徳業者の場合、あえて事前に追加費用に関する説明を行わず、契約書にも記載をしないケースがあります。そうなると、業者の言いなりになってしまう部分もあるので、必ず事前に追加費用に関する規定について確認しておくことが大切です。
見積もりが安すぎる場合もそうですが、追加費用に関して曖昧にされたり、あえて触れなかったりするような業者には注意を払う必要があります。
不法投棄を行うケースも
悪徳業者に注意しておきたいポイントとして、不法投棄を行うケースがあることも忘れてはいけません。見積もり金額が安すぎる場合の注意点と重なる部分ですが、解体工事を行う際に出る産業廃棄物に関しては、正式な収集運搬許可を受けている必要があります。
産業廃棄物は適当に処分すれば良いというわけではなく、適切な手順にしたがって処分を行う必要があるものです。解体工事を依頼する業者がこうした許可を受けている業者なのかどうか、事前に確認しておくことも大切です。
不法投棄を行った業者はもちろんのこと、施主も罰則を受けることがあります。それも「5年以下の懲役、または1,000万円以下の罰金、またはその併科」という大変思い罰則規定があります。
決して他人事ではないので、万全を期した形で業者選びを進めることが求められます。
知人からの紹介にも注意
悪徳業者に依頼しないように注意するという点については、知人からの紹介にも注意を払う必要があります。知人からの紹介は断りにくいと感じるケースも多く、曖昧なまま業者に依頼してしまうこともあります。
知人だからといって変に気を遣う必要はありません。実際に担当者の方と話してみて、違和感を覚えたり変だと感じたりする部分があるのであれば、きっぱりと断ることが重要です。
紹介であることを理由に安易に業者選びを進めてしまうと、後で痛い目に遭うリスクが高まります。本当に信頼できると感じる業者であれば問題ありませんが、そうでなければ自分で探した業者に依頼するのも1つの選択肢です。
知人から紹介された業者についてもフラットな形で見ることによって、悪徳業者に遭遇する確率を下げることができます。
解体工事にかかる費用のおさらい
解体業者を選ぶ際にはさまざまなポイントを意識しつつ、悪徳業者に依頼しないように細心の注意を払うことがポイントです。その中で、解体工事にかかる費目についても、まとめてご紹介していきます。
どの業者に依頼したとしても、基本的に発生する費用の費目にはそれほど違いはありません。何か特別なスキルを要する工事や特別な機械を使う場合は別ですが、大まかな事項は一緒だと考えておいて問題ありません。
その費目について、一覧でご紹介していきます。
- 仮設工事費
- 重機運搬費
- 基礎撤去費
- 内装解体費
- 屋根解体費
- 重機解体費
- 樹木などの伐採費
- 廃棄物処理費
- 人件費
- 写真代(解体前の状況と進捗状況の記録)
基本的には、上記で挙げた費目に関して、それぞれ費用がかかっていくことになります。金額に多少の多寡が出てくることがあるので、複数の業者から見積もりをとることが大切です。
その中で、費目やそれぞれにかかる料金提示をしっかりしてくれる業者に依頼することで、安心して解体工事を見守ることができます。
解体業者が決まった後の流れ
それでは、実際に解体業者が決まった後の流れについても確認していきます。解体業者の選定を終えて、契約を結んだら、実際の解体工事へと移っていきます。解体業者が決まればそれで終わりというわけではありません。
その先の解体工事に向けてやるべきことも出てきます。適切な形で解体工事に入ることができるように、解体業者選びを終えた後の流れについても理解を深めておきましょう。
建設リサイクル法に基づく申請
解体業者が決まった後は、まず建設リサイクル法に基づく申請を行うことになります。
建設リサイクル法
建設資材の適正処理と再資源化の促進を目的として制定・公布された法律。正式名称は「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」。
具体的には、「特定建設資材を用いた建物」、「床面積の合計が80平米以上の建築物」、「請負代金が500万円以上のもの」などが建設リサイクル法の対象となります。建設リサイクル法に該当する場合は、工事着工の7日前までに各都道府県知事に工事内容などを記載した書類を提出することが義務付けられています。
基本的には解体業者が提出することになりますが、施主としてもしっかりと対応されているかどうか確認することが求められます。また、解体業者が書類を提出する場合は代理申請となるので、施主の委任状が必要となります。この辺も忘れずに実行しておきましょう。
道路使用許可の申請
建設リサイクル法に基づく申請も重要な手続きですが、それと同時に道路使用許可の申請も行う必要があります。解体工事を行う際は一般道路を利用することも多く、道路を使う際には許可を受ける必要があります。
重機やトラックの往来、資材の搬入や搬出など、スムーズに解体工事を進めていくためには、道路交通法に基づいた道路使用許可の申請が必要です。
こちらも基本的には解体業者が道路を管轄する警察署長へ届出ることになります。道路使用許可に関しては、2,000円から3,000円程度の申請料がかかります。これは見積もりの際に提示されることが多く、施主側の負担となることが一般的です。
ライフラインの停止や解約
建設リサイクル法に基づく申請や道路使用許可の申請を終えることができたら、ライフラインの停止や解約の手続きも行っていきます。家屋や建物の解体に際しては、電気、ガス、インターネット、電話といったライフラインの撤去作業も進めることになります。
それに伴って、工事開始前までにそれぞれのライフラインの停止や解約の連絡を入れておきましょう。
水道に関しては、工事期間中に放水や清掃の際に利用することがあります。そのため、解体業者の方と連携を取りながら、解約日を決めることになります。基本的には解体工事が完了するまで停止しないことが多いので、その他のライフラインと分けて管理しておく必要があります。
残置物の移動や処分
解体業者が決まった後の流れとしては、残置物の移動や処分も頭に入れておきたいところです。建物内に残っている不用品や家電製品など、処分が必要なものは事前に処分することが重要です。
残置物や不用品がそのままの状態になっていると、解体工事とは別に処分費用を取られる可能性が高くなります。少しでも節約するためには自分で処分するのが一番です。
回収業者に依頼したり、粗大ゴミとして出したりすることで、安く処分することができます。事前にできることは自分で行なっておきましょう。
解体工事の開始
諸々の手続きや申請、残置物の移動や処分などを終えることができたら、いよいよ解体工事へと移っていきます。解体業者選びから始まり、事前作業を終えることができて、ようやく解体工事の段階となります。
それだけやるべきことが多いことも理解しておくことが大切です。解体工事の検討を開始してから、実際の解体工事に着手するまでには1ヶ月から2ヶ月程度かかることも珍しくありません。
その間にやるべきことを淡々と進めていく必要があります。見積もりや契約の段階も含めて、施主側がやるべきことをしっかりと進めていき、解体工事着工の日を迎えるようにしましょう。
解体業者選びは慎重に
ここまで解体業者の選び方や解体業者が決まった後の流れについて解説してきましたが、最後に改めて解体業者選びの考え方を取り上げていきます。基本的に、解体業者選びに関しては慎重に行うことが重要です。
特に初めて解体工事を依頼するケースでは、より多くの業者とコミュニケーションを取って本当に信頼できると感じた業者に依頼することがポイントです。自分の中で納得感を持つことができるまで、交渉を重ねていくことが大切です。
時間がかかっても問題ない
解体業者選びに関しては、いくら時間がかかっても問題ないと考えることができます。解体の期日が決まっている場合は別ですが、ある程度スケジュールに余裕があるのであれば、解体業者選びに最も多くの時間を割くことがおすすめです。
それぐらい解体業者によって対応が異なりますし、工事中の信頼感も変わっていきます。工事費用だけを基準にしてしまうと、後で思わぬ事態が発生することもあります。本文中でもご紹介したような判断軸を持ちつつ、総合的に信頼できる解体業者に依頼することが求められます。
誠実な対応や担当者の人柄、会社の姿勢など、全体を俯瞰するような視座を持ち、解体業者選びを進めていきましょう。
近隣からのクレーム対応や事故対応の確認も
解体業者選びの考え方として、近隣からのクレーム対応や事故対応についてもしっかりと確認しておきたいところです。解体工事とクレームは切っても切り離せないものだと考えておく必要があります。
工事期間中は騒音や振動、粉じんの飛散や道路の利用など、さまざまな形で近隣住民の方へご迷惑をお掛けすることになります。クレームが発生した際にきちんと対応してもらうことができるのか、万が一の事故の際にどういった対応をしてもらうことができるのか、事前に確認しておくことがポイントです。
クレーム対策や事故に対する対応事例なども含めて、事前に適切な形で説明してくれる業者を選ぶことが有効です。
不明点に対する回答期限内の対応
また、解体業者選びの考え方として、不明点に対する回答期限内の対応も挙げることができます。施主側としてもさまざまな疑問点や懸念点があり、解体業者に質問をすることが多くなります。その場で回答できるような内容であれば問題ありませんが、場合によっては、持ち帰り案件となることもあります。
その際に「いつまでに回答します」と言われることがありますが、その期限をしっかり守って適切な回答をしてくれるのかどうか見定めておく必要があります。
期限を守って回答してくれる業者であれば、ある程度信頼することができます。一方で、期限を守らず回答に時間がかかるような業者であれば、他の業者を選んだ方が良いでしょう。時間や期限にルーズな解体業者については、実際の施工やクレーム対応などもずさんな形になる可能性が高いと考えられるからです。
契約前のコミュニケーションの段階で、誠実さや真摯さといった部分を重点的に意識しておくと、解体業者選びの判断基準にしやすくなります。
まとめ
解体業者の選び方や悪徳業者を選ばないためのポイント、解体業者が決まった後の流れなどについて具体的に解説を行ってきました。解体工事はそれほど何度も何度も行うものではなく、解体業者選びに慣れているという方も多くはないでしょう。
その中で少しでも信頼できたり、安心して工事を任せることができたりする業者を選びたいと考えるのは自然なことです。そうしたニーズを満たすため、解体業者選びの判断基準を持っておくことが重要です。本記事で取り上げたような内容をもとに自分なりの基準を作っていき、その基準を満たす業者に解体工事を依頼するようにしましょう。